8年前にNHKが制作したシリコンバレーについてのビデオが面白かった

授業でシリコンバレーについてのビデオを見せられたのだが、非常に面白かった。2001年制作ということなので全く期待してなかったのだけれども、今の状況を知っているぶん逆に楽しめた。内容はシリコンバレーの起業家と投資家、起業家を育てる教育機関としてのスタンフォード大学についてだ。

スタンフォード大学

起業家教育(アントレプレナー教育)でのスタンフォードの教育プログラムは非常に実践的だった。今回の授業内容は「紙のみで人が乗れる車いすをつくること」だった。この授業はほとんど不可能な課題をいかにしてチームでとりくむかを試す授業で、起業家に必要な三つの力を磨くことができる。

  • 発想力
  • チームの活用力
  • 失敗を克服する力

無理難題を出すことによってこれらの力が身に付く。紙だけで人が乗れる車いすをつくることは普通は無理だ。しかし、発想を重ね、アイデアが出てくれば可能になる。そしてアイデアがでてきても、チームメイトの長所を認め、うまくチームの力を割り振ることができないと、アイデアは実現しない。そこまでできてもやはりほとんど失敗する。そこからまた何故失敗したのかを考え、また挑戦する。このような内容の授業だった。特に失敗を学ばせるための授業とのことだ。


アメリカ人は個人主義だと言われているけれども、この授業を見る限りではチームワークが素晴らしく、楽しそうにやっていた。実際にこの無理難題を解決しているグループがいて、さすがスタンフォードだと思った。スタンフォード大学では実践に即した授業が多く、上記のような講座が20以上あるという。


場面が変わり、教授に自分の考えた事業プランを相談するための学生が列をなしている。IPフォンの事業プランを話す学生に対し、教授は「リアリティチェック」と称して実現性を考える。想定されるリスクを学生に問い、それにどのように対応するのかを考えさせる。このように学生の事業の相談に大学側が携わることによって、大学も実体験を積んでいく。

シリコンバレーの環境

シリコンバレーでは朝に起業家が誕生するといわれているらしい。忙しい投資家が起業家達の話を朝食時に聞くからだそうだ。起業家と投資家が集まるレストランがあり、どの席でも投資の話をしていた。シリコンバレーで毎年1000以上ものベンチャー企業が誕生するのはこの投資のシステムにある。


今でこそ改善してるのかもしれないけれども、日本ではベンチャー企業を起こすときに銀行から金を借りる。そして、事業が失敗すれば起業家は多額の借金を背負う。しかし、シリコンバレーでは、多くの投資家が起業家に資金援助をする。そして、その事業が失敗しても起業家は金を返す必要がない。投資家がリスクを負うのだ。投資家は10社中1社でも成功すれば、多額の利益を得ることが出来る。そしてまた新規事業に投資し、成功した起業家も投資家の仲間入りをする。こうした資金循環システムによりシリコンバレーでは多くの起業家が誕生する。


このようにシリコンバレーでは失敗しても己の時間のみが失われるだけだが、むしろ失敗の経験は次の事業のときにプラスとして評価される。PDAベンチャーに失敗をして80億円と6年間を無駄にした起業家は、その大失敗のあとにネットオークションのビジネスを始めた。投資家達は失敗と、失敗から立ち上がったことを高く評価して、彼にまた投資した。結果、その事業は大成功をおさめた。(企業名がでなかったのでebayの話かと思って調べたけれども、別の企業の話だったらしい)

感想

シリコンバレーっていうのはやっぱり面白い環境だと思った。古いビデオであったので、まだ利益を上げていない頃のgoogleが駆け出しの勢いのある一企業みたいなポジションで他の無名ベンチャーとともに紹介されていて笑えた。他にもHP社の二人から始まってにシリコンバレーが出来上がっていったエピソードとか、シリコンバレーを貫く国道に自社の広告を出すことが成功の証だとか、興味深いエピソードもたくさんあった。日本はやはり起業に適してない環境だと実感した。事業が失敗してもノーリスクっていうのはすげえと思った。