合唱コンクールとアメリカ人


この動画を見て感動した人も多いかもしれないが、僕は感動よりも懐かしさと驚きがこみ上げてきた。


高三での文化祭でのはなしである。うちの高校では毎年一年生が文化祭で合唱をすることになっている。僕の通っていた高校は昭和の匂いのする熱い高校で、行事などでは生徒のひとりひとりが積極的に参加するようなところだった。そのためたかが合唱コンクールといってもなかなか面白くて(レベルが高いとは言わないが)クラスごとに個性があってみんな楽しんでいた。元気の良いクラスから、本格的なハーモニーを奏でるクラスまでいて、どのクラスもよく練習してあった。


最後のクラスのときに事件はおこった。そのクラスは男が伴奏をしたのだが、遠目に見てわかるぐらいに緊張していた。曲が始まったとたんにミスを連発し、指揮を無視しまくりで速くなったり遅くなったり。そして、中盤になり伴奏がとまった。指揮と歌だけで曲は進んでいくことになり、明らかに戸惑い気味で歌声がにぶっていた。
そのときどこからともなく手拍子が沸き起こり、観客全員が伴奏の代わりにと手拍子をはじめた。力強くなる歌声。大きくなる手拍子。
曲が終わったときには他のクラスより一層大きな拍手が巻き起こった。


結局そのクラスには何の賞も与えられなかったが、僕はこの高校に入って本当に良かったと思った。上の動画とは規模が違うかもしれないけど、どこの世界に行ってもこうゆうことは多々あるのかもしれない。人間はやっぱりあったかい生き物なんだろう。