iPadが570円で落札されているオークションサイトがすごい

これは久々に面白いビジネスモデルのサービスを見つけた。笑オクというオークションサイトだ。
http://waraoku.com/


このサイトに行ってみればわかるが、みんなが欲しがる人気商品が1000円以下の格安価格で落札されている。最初みつけたときは何が起こっているのかわからなかった。まだまだ黎明期だから主催者側が赤字覚悟で投げ売りしているだけなのかと思っていた。しかし、事情は違った。いや、おそらく現時点では赤字覚悟の投げ売り状態なのだけれど、この落札価格にはもっとクレバーな秘密が隠されていた。


一見普通のオークションに見えるのだけど、このサイトにはいくつかのルールがある。

  • 全商品は新品(運営側が用意)で0円スタートである。
  • 入札には規定額(20円や1円)のみである。
  • 入札すると落札残り時間に10秒加算される。

これらが運営側が登録前のユーザーに教えている主なルールである。これだけだと「なんか縛りのあるだけのオークションで格安で落札できるのにはかわりはないんだな」と思って登録してしまうだろう。僕も「いや、そんなウマイ話あるわけねえだろ。どこでユーザーから搾取しようとしてんだ?」と説明ページを熟読してしまった。しかし、ここに書いてある情報だけではビジネスモデル(ユーザーから搾取するカラクリ)が見えなかったので、とりあえず登録してみた。すると、ものすごく重要な裏ルールが存在していたことを知らされた。

  • 入札には入札毎に1ポイント必要であり、ポイントは購入制である。

1ポイント60円。このルールが入ると話はガラリと変わってくる。


つまりこのオークションサイトは、従来のヤフオクやebayとは違い、ユーザーを世話することで手数料をいただくというビジネスモデルとは全く別次元だ。ユーザーが入札する毎に60円ふんだくることでぼろ儲けしようとしているのである。上記のルールは全て「ひとつの商品を落札させる前にどうやったらユーザーが一度でも多く入札をするのか」ということだけを考えて設定されたもので、格安の落札価格の下には落札者を含めた入札者達の入札お布施が含まれている。


0円スタートなのも、一度の入札を1円とか10円の低い値段に設定しているのも「落札価格をなるべく低くする」ためだ。落札価格は低くして置かなければ、入札する意欲を保たせられない。永遠に入札してほしいのだから、落札価格は低ければ低いほど良い。そして低い価格で落札されていれば宣伝効果がある。現に過去の落札商品をトップページで大々的に宣伝している。


入札ごとに10秒追加のルールも怖い。まだ一度も入札をしてみてないのだが、このサイトはユーザー心理をいやらしいまでに突いていることが想像できる。おそらく、入札がヒートアップしてくればくるほど「これだけポイントを突っ込んだんだから今更やめられない」という駄目ギャンブラー心理が働いて、限界まで行ってしまう。入札毎に終了時間が伸びるのだから誰かが諦めるまで止まらない。入札直前の商品はトップページの目立つところに掲載されるので、どんどん新規参入者がでてくる。どれだけの屍の上になりたっている価格であろうと、見た目の落札価格は激安であるので、目に入ったユーザーが次々に入札してくるだろう。負のスパイラルが発生してしまう。ギャンブルにソーシャル要素を足したチキンレースのようなものだ。


ざっと落札商品に目を通してみたが、現時点ではまだユーザーが少ないらしく、小さな投資で素晴らしい商品を手に入れることができるだろう。しかし、ユーザーが増えてしまったあと、商品を落札するのには相当なギャンブルセンスが必要だと思う。


techcrunchが昔提携していたスタートアップが確か似たようなビジネスモデルだった気がするのだけれど、誰かその記事がわかる人はいないだろうか。いたらコメント欄に教えてほしい。

追記

見つけました
BigDealとの広告契約を終了します - TechCrunch
twitterで教えてもらったのですが、ペニーオークションというビジネスモデルで、結構問題になっているらしいです。全く知りませんでした。