iPadを買ってから一ヶ月経過後の感想
iPadを買ってから一ヶ月が経った。iPadの購入が伸びた一ヶ月はものすごく長かったのに、購入後の一ヶ月は本当にあっという間だった。ここらでだいたいiPadのことが理解できてきたので感想を記しておく。
まず大前提として、iPadは「コンテンツ消費特化型デバイス」だということだ。iPadは音楽や動画やテキストといったコンテンツを消費するためのデバイスとしては最高峰の使いやすさを持っている。それこそコンテンツが身近に感じられ、さながらコンテンツをそのまま手の中に持っているような感覚をうける。iPadの携帯性や機動力も重要で、本当にいつでもどこでも音楽や動画を視聴することができ、例えば音楽を聞くためにわざわざPCを立ち上げる必要のないので、食事中やストレッチ中など、いままでは音楽に無縁だった場面で音楽を聞くことなどをするようになった。
また、InstapaperがWebを新聞や本に昇華させた。Instapaperがあれば膨大なWeb上のコンテンツを美しい形式でいつでも読むことができる。PCを立ち上げるほどではないちょっとした空き時間など、これまでは本や雑誌を呼んでいた時間にWeb上の良質であるが少々重い記事を読むようになった。これのおかげでiPadが神デバイスと化している。
ゲーム機としてのiPadも優秀である。僕のお気に入りのゲームはほぼ毎日やっているし、これほどおもしろいゲームが安値でほとんど無限に手に入れられることに興奮を覚える。僕は時間を取られるのがいやで、もともとゲームをしないのだが、iPadはいつも手が届きやすいのでついついゲームをやってしまう。起動の速さや大きさなどがゲームに対するハードルを下げている。
しかし、iPadでいくつか僕の期待に答えられなかったこともある。まずPCのかわりにはならなかったことだ。僕がPCを使うのはほとんどがWebの閲覧で、たまにTwitterに投稿ができれば良い。Webの閲覧はRSSリーダーから読みたい記事に飛ぶという使い方であるので、コンテンツを消費するのに特化したiPadがあればPCをほとんど立ち上げる必要がなくなるのではと思ったのだ。しかし、実際は毎日PCを起ち上げて、今まで通り酷使している。
理由はいくつかあるのだが、一番大きいのが、iPadは「出力デバイス」であるので入力に極端に弱いことと、RSSでの記事の閲覧は選別時に自分の意思を入力しなければならないということだ。僕はiPadにあわせてRSSリーダーをLDRからGoogleリーダーに、ソーシャルブックマークをはてなブックマークからdeliciousにと、グローバルスタンダードのサービスに乗り換えて、準備万端でiPadに臨んだ。RSSリーダーアプリにはNewsRackを選び、2週間ほどiPadでフィード処理をやってみた。結果は散々で、以前の消費量の10分の1以下くらいになってしまい、ストレスでPCのLDRにもどした。理由はやはり記事を選別しているときの自分の意思をiPadに入力する手間が大きすぎることだ。読みたい記事に行くためになんどもタップして、時間のかかる読み込みをしなければならず、さらにその記事のコンテンツを拡大して読まなければならない。シングルタスクであるので、それを一つ一つの記事に対してやらなければならないのだ。ちょっとした更新チェックならまだしも、すべての記事チェックはとてもじゃないけど無理だった。RSSリーダーが使えななければWebの全てが使えないようなものなので、結局PCを起ち上げる結果となった。
そして、僕が期待していた授業のレジュメPDF閲覧も全くできていない。PDFをiPadに入れるまでの過程がなかなか面倒くさく、これならば印刷の方が速いという感じになってしまう。また、Twitterとも疎遠となった。シングルタスクであるので、iPadを使っている間はTwitterを見ることはない。そして入力がわずらわしいのでポストも減る。replyチェックくらいしかiPadではやっていない。
アプリはたくさんダウンロードしたが、数個しか使っていない。正直自分の生活にあったアプリしか使い込むようなことはなく、それらは本当に少ないのだ。なので僕のiPadは、InstapaperでのWeb読書、i文庫HDでの読書、iPodでの音楽視聴、そら案内やメールでの情報チェック、ゲームアプリでのゲーム、これくらいしか使われていない。あとはたまに英語の勉強時のウィズダムだとかである。これでも十分に買う価値があると思うが、無限になんでもできると思うと、そうでもない。
iPadはPCに置き換わるのかという風潮があるが、現在PCに慣れ親しんでいるのならばそれは難しい。iPadがあればできることも増えるし、ライフスタイルも変わる。現に毎日iPadに一時間以上は触れていると思う。しかし、それはたぶん想像出来る範囲のものであったし、人に薦められるものかと聞かれれば答えに困る。一年後や二年後にどうなるのかわからなが、iPadを買おうと思っている人は少し想像を巡らせてみると良いと思う。