涙を流すほど美しかったボクシング世界戦

昨日のボクシングを見ていたら最後の内藤のインタビューで、僕は涙を流した
内藤がんばったねってのもあるけれども、ヒーローの内藤とヒールの亀田とのコントラストがあまりにも美しかったからだ


僕がもっとも感銘をうけたのは両者のパンツだ。
亀田には美しい金の刺繍のはいった、王者と見まごうほどの立派な白のパンツ。
一方、内藤はスポーツ系でさえないスポンサーの名前がごてごて入ったダサい黒のパンツ。
この両者の分身ともいえるパンツのハーモニーはとても美しかった。



再三言われている通り、対照的な道を歩んできた二人の頂上決戦。
一方は若い頃からメディアでとりあげられ、ちやほやされてきた若い鳥
他方は小さい頃からいじめられ、日陰で苦難を乗り越えてきた年老いた猫
その両方にドラマがあった。


内藤はいじめられっこだった。
ふがいない自分を変えるためにボクシングをはじめた。
王者となったがスポンサーはつかず、苦しい生活をつづけていた。
世界戦での黒いパンツのような人生だった。


亀田はメディアに作り上げられたヒーローとしてボクサーとなった。
亀田ブランドのもと、敗北は許されない「亀田」のためのボクシングしかやらせてもらえなかった。
パフォーマンスもメイドイン「亀田」だった。
挑戦者にしては不相応の白の立派なパンツをはかされた。


国民には完全に嫌われた「亀田」はそれでも「亀田」をやめることは許されない。
どんな卑怯な手を使ってでも負けることは許されない。
ヒールとなってでも勝ち続ける宿命を背負っていた。


試合では18歳には酷すぎるほどのアンチ亀田ムード。
勝っても負けてもブーイングは目に見えていた。
正義になるのは容易だが、悪になるのは本当につらい。
亀田はもう逃げられなかった


そして、黒が白を追い詰めていく
白に味方はいない
負けることは許されない


そして、白のパンツの亀田は追い詰められて暴挙に出る
ボクシングの尊厳を守るために内藤は闘う


本当に美しい試合だった