反骨精神が失われた時、世界が崩壊するという話

今日、予備校で英語のとある先生が面白い話をしてくれた。
先生は学者でもあるので、いろいろな人と会う機会が多いのだが、ある一兆円企業の幹部の方と飲んだときの話だそうだ。
その方が言うには、「日本には反骨精神のないばかりで、このままでは日本は死ぬに違いない」だと。


その方の部下の話だ。
その方は大企業に勤めていて(僕は知らない企業だったけど)かつてその企業の体質に不満を抱いていた。そして、同じく不満を抱いていた部下が一人いたそうだ。その部下は若さ故か、内部から組織の体質を変えようとさまざまな運動を起こす、ちょっと熱い奴だった。その行動は支持者は多かったが、その方とは別の上司からの不満を買い結局彼は左遷されてしまう。その左遷は大阪本社から地方の支社へのもので、愛妻家だった彼を効果的に痛めつける明らかに作為的な悪意のあるものだった。


上司は(影でにやにや笑いながら)単身赴任を勧めたが、鹿児島出身の彼はそんなにヤワじゃなかった。なんと大阪から片道4時間かけて通勤したのだ。二年間も。交通費月14万をかけて。家にいる時間は2時間ほどで、通勤中に寝ていたという。


その後、彼は登りつめた。発言力も持ち始めた。今その組織は外からも目に見えるぐらいに変わり始めているらしい。


ミートホープの不祥事が問題になっている。消費者を馬鹿にするような態度には僕も不快感を覚えた。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/994658.html


先週女性用スパでの爆発事故があった。ユニマットという企業だ。死者をだしたような大事故なのに社長がちょっと出てきただけで全く誠意の見えない対応が目立つ。沖縄でのリゾート開発により、現地住民とかなり揉めている企業だ。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/991400.html

グッドウィルの不祥事や、ライブドアショックに通じるところもあるかもしれない。(個人的に僕は堀江ライブドアの支持者であるのだが)


これらの企業に共通して言えることは、組織のワンマン経営である。下のものや消費者、ユーザーの意見に耳を傾けず企業のトップが好き勝手会社を振り回す。本当に迷惑な話だ。勝手に死ぬんなら文句はないんだけど、迷惑かけてるでしょ?


日本では反骨精神を持つ者は殺される。民主主義の名の下にマジョリティーによって徹底的にボコボコにされる。マジョリティーは正義であり、正義が多数と結びついたときにいじめが起こり、公開処刑が許される。絶対正義、絶対悪などこの世には存在しなくて、全てが相対正義と相対悪なのだ。


そして、愚鈍な者達がトップに座り、組織は腐っていく。日本という組織は腐っていく。


ではしかし、善政を敷く独裁者ならばどうか?組織は腐らないのではないのか?
http://d.hatena.ne.jp/KJ-monasouken/20070504
善政をなした独裁者というのは確かに存在する。しかし下からの声が聞こえない体制をいつまでも続けていたら必ず組織は崩壊する。統計論の話だ。


Googleは個を重んじる経営で有名だ。チームが個人より優れていることをエリック・シュミットはよく理解している。ユーザーにもフレンドリーで、事実上現在世界の一番上にいる企業だろう。
しかし、もっと視野を広げてみるとどうだろうか?Googleは本当に独裁者ではないのだろうか?反骨精神のある企業は傘下につけて、言論を事実上支配している。


"Don't be evil."彼らは本当にそう思っているのだろう。
しかし、この世に絶対正義などは存在しない。