iOS5でAppleがローカル広告の布石を打っている

今回のWWDCでおれが注目していたのがAppleのロケーション戦略と広告戦略だったんだけど、全くなにもなくて少しがっかりだった。Googleとの契約の更新とかが報道されていたので、マップが置き換わることはないとは思っていたが、もう少しなにか面白いことがあれば良いのにと思っていた。ただ、そんな中でも特筆すべき点がひとつだけあって、邪推するとこれはAppleの新しい広告戦略の布石なのだろうか。


それは今回の新機能の目玉であるNotification Centerだ。これは外部から人材をヘッドハントしただけあって素晴らしい機能だと思うのだけれど、このプッシュ通知をアプリ開発者に自由にさせると、ここが広告であふれるのではないのだろうか。昔、facebookの通知機能がゲームからの通知で溢れ返って、facebookはそれを禁止したことがある。もちろんゲーム開発者側からしてみれば通知をすればするだけユーザーの目に触れるのだから、いくらでもやりたい。これまでのアプリ単独で数字のみを通知するようなものではなく、一括で通知を見れる場所があるのだから、そこに広告を打つ感覚でどんどん通知をするだろう。そうなってくるとAppleは当然そこに規制をかけてコントロールしようとする。そして、そのコントロールが行き着くところが、新しい広告形態ではないだろうか。

ここでもう一つの新機能が効いてくる。それはRemindersというタスク管理アプリだ。これは純正だけにシンプルなものなのだが、一つ気の利いた機能がついていて、それはLocation Reminders機能だ。これはタスクに位置情報を登録しておくと、その場所に近づいたとき(もしくは離れたとき)に通知してくれるというもので、高級アプリには備わっていた機能だ。しかし、よく考えてみるとこの機能はシンプルを追求する純正アプリにはあまり似つかわしくない。そこまでメジャーでない機能であるし、理解が複雑になる原因でもある。この機能は別の狙いがあったのではないだろうか。つまり、上記のNotification Centerとの組み合わせによるロケーション広告との布石だ。

iOS5紹介ビデオをみるとわかるが、Location Reminders機能はその場所に近づくだけで通知してくれる。つまりiPhoneが特定の場所に近づいたら情報を飛ばせる。これがもしGrouponの地域クーポンだったどうだろうか。「近くに5ドル安くなるバーガー屋がありますよ」とiPhoneにとばすことができれば、超ローカル広告を超リアルタイムで打つことが出来る。この広告は強力だが、ユーザーの位置情報を使う必要があるので、個人情報と直接的に結びついてしまう。そこでAppleは今回のRemindersにしこむことによってユーザーに慣れさせようとしたのではないだろうか。iPhoneが位置情報を取得しているとこんなに便利になるんだからがたがた騒ぐなよと。